セッションワークショップの様子

「セッションワークショップ」とは

セッションワークショップの目的

ライブでのパット

パットのライブスケジュール

パットの音楽










Custy's Traditional Music Shop(本店)

パットの来日活動記


カスティーズですっかりおなじみのフィドラー、パットが2009年6月に日本でおこなった演奏活動記をまとめています。



ミルタウンのパブにて


セッションワークショップの様子


CCE東京支部の協力で、中野サンプラザにてパットのワークショップが行われました。

土曜日の午後、ワークショップ参加者は10名。視聴のみの参加の方もいらっしゃいました。楽器構成はフィドル、コンサーティーナ、フルート、マンドリン、ホイッスルと多彩です。結局2時間のワークショップを更に1時間延長して、リラックスした雰囲気の中あっという間の3時間でした。

自分ではなく参加者が中心のワークショップにしたいと考えていたパットは、とにかく一人ひとりに曲を始めるよう催促します。最初はぎこちなかい感もありましたが、数セット後には流れをつかんでウォームアップ完了です。その後はスムーズに参加者からセットの提案が途切れなく出るようになりました。

ワークショップで演奏された曲のほとんどは、アイルランドのセッションではお馴染みのものでした。中には新しいバンドの音源からコピーしたものもあり、その時はパットも「?」という反応でしたが、それを除けばパットにとって知らない曲はありません。膨大な曲数を誇るアイルランドの音楽ですが、それぞれの曲の名前、コード、アイルランドのどの地域でよく弾かれているかなどの知識を兼ね備えているのも、パットが一曲一曲を大切に弾いている証拠です。
パットと一緒にセッションをしていると、自分がいつもより上手に弾けているかのように錯覚します。これは、パット持ち前のずば抜けたリズム感が作り出す曲の流れに自分も乗せてもらっているからです。複数の人が一緒にセッションをするとリズムがばらつきがちで、しかも今日のように初対面の人同士だとどうしても不具合が生じます。しかしそこはさすがセッションを日常的にこなしているパット、みんなの音を一つにまとめて頼りがいのある絶対的なリズムでぐいぐい引っ張っていきます。セッションをしていてこんなに気持ちいいことはありません。

途中お茶とお菓子を用意しましたが、皆さんそれどころではありません。ひたすらパットと一緒に少しでも多く曲を弾こうと、結局休憩なしで弾ききった感じでした。
ワークショップの中盤に質問タイムが設けられ、何人かの方からパットへ質問がありました。
「アイルランドのセッションに参加する時に気をつけた方がいいことは?」、「セッションで煙たがられる人はどんな人?」など本場のセッションにおけるマナーについての鋭い質問には、なかなか知り得ないセッションにおける暗黙のルールがあることをパットが丁寧に説明。セッションで煙たがられる人の話でも、ジョークを交えながらいろいろな例を紹介するパット。それまで音楽一辺倒だったのが、おしゃべりをはさむことで一気に座談会のような和やかな雰囲気に。他にも「酔っ払った時に弾きたくなる曲ってありますか?」という質問からアイルランドの飲酒運転の話になり、警察の目をごまかすためのさまざまな例を紹介して熱弁をふるうパットに、みんなが苦笑するシーンもありました。

質問タイムに限らず、参加者の中から「この曲の名前は?」「曲名がアイルランド語だけど、この意味は?」といった曲やセットに関する質問が気軽にできるのもワークショップならではのことでした。簡単な通訳つきなので「質問したけどなんて言われたか分からなかった」ということもありませんでした。

また、後半に入ると曲をセットで弾く時のコードの話が出たりと、少しレベルアップした内容になりました。「このコードのあとにGmの曲をつなげるとセット全体が引き締まるよ」とか「この曲は一つ音を下げてこのコードで弾くとフィドルではいい音になるよ。でも、フルートやホイッスルの人は弾けないから今日はやめておこう」といった具合です。このように些細なレクチャーがところどころに顔をのぞかせるので、楽譜やCDから覚えるだけでは分からないアイルランド音楽の幅の広さ、アイルランドのミュージシャンが普段使いこなすアドリブの限度を垣間見ることができました。

制限時間いっぱいまで使い切って、大急ぎで片付け、ワークショップは無事終了しました。パット自身も「楽しかった」との感想、次回また同じような企画ができればと思っています。
ワークショップに参加された方々、視聴者のみなさん、ありがとうございました。



セッションワークショップの様子。楽器構成もセッションのよう




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「セッションワークショップ」とは


フィドルに限らず、アイルランド音楽で演奏される楽器であればどんな楽器でも参加可能なワークショップ。視聴のみの参加も可能です。途中にティータイムと質問タイムをはさみながら、アイルランドでクレアを中心にパブセッションを日常的にこなすパットと、2〜3時間思う存分セッションを楽しめる貴重な機会です。
参加者が中心に曲を出し、とにかくパットと一緒に演奏することが主体のカジュアルなワークショップです。
必要に応じて簡単な通訳がつきます。




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セッションワークショップの目的


パブでのパットのセッションに参加したり、コンサートで演奏を聴いているだけでは分からないことを、パットに直接気軽に訊ける絶好の機会です。曲に関する疑問、セットの作り方、セッションの進行の仕方などアイルランド音楽についてのあらゆる知識をパットと一緒に演奏しながら習得することができます。
また、パットのパブセッションに参加するのはちょっと気が引けるという方でも、このセッションワークショップならプレッシャーを感じずにパットのリズム感溢れる音の世界を共に堪能することができます。
そういう意味でこのセッションワークショップは、コンサートとパブセッションのちょうど間に位置づけられたユニークなワークショップと言えます。




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ライブでのパット


今回の来日では11のパブセッションをこなしたパット。名古屋(1)、京都(3)、東京(7)でたくさんの日本人ミュージシャンとのセッションを楽しみました。「どこの地域でも、今まで会ったことのなかった新しいミュージシャンが増えていたこと」が、今回パットの印象に残ったようです。
今回のパブセッションを企画してくださった方々、セッションの応援に駆けつけてくださった方々、本当にありがとうございました。



名古屋のパブ、ピートにてセッションを楽しむパット。
パットの演奏スタイルをこよなく愛するフィドル奏者、柏木幸雄さん、小松大さんとの共演。パットも
この夜は弾きたい曲を弾きたいだけ出してもこの二人がしっかりついてくるのでとても楽しかったの
だそう。伴奏はパットも「非常に優れたアイリッシュのギター奏者」と太鼓判を押した小堀光さん。



渋谷のアイリッシュパブ「フォルチェ」でのライブの様子が見れます。
http://www.youtube.com/watch?v=zmPb2Ci5Pko
この比較的新しいパブ「フォルチェ」は、店内の雰囲気が落ち着いていて素敵でした。お店のサイズも大きすぎず小さすぎず、何より店員さんの応対がとても気持ちのいいもので、こんなパブでまた音楽ができたらいいと思います。


品川ダブリナーズでのセッションにはたくさんのミュージシャンが集まりました




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パットのライブスケジュール


●6月11日(木) 20:00〜  ピートアイリッシュタバーン(名古屋)

●6月12日(金) 20:30〜  ゲールアイリッシュパブ(京都)

●6月13日(土) 20:30〜  マクラクランズ(京都)

●6月14日(日) 19:00〜  アイリッシュパブ ノーム(京都)

●6月18日(木) 19:30〜  フォルチェ渋谷

●6月20日(土) 20:00〜  ガリバー八王子

●6月24日(水) 20:00〜  ダブリナーズ品川

●6月25日(木) 20:00〜  ダブリナーズ虎ノ門

●6月26日(金) 19:30〜  ダブリナーズ赤坂

●6月27日(土) 19:00〜  シャノンズ大崎

●6月28日(日) 18:30〜  フォルチェ渋谷




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相棒オーイン・オサリヴァンと


パットの音楽


音楽を言葉にして説明するのは難しいことですが、今回大阪のローホイッスル奏者、こもえさんがブログにてパットの音楽の魅力について語ってくださっています。ここでは、彼女の文章を抜粋して紹介させていただきます。こもえさん、ご協力ありがとうございました。
こもえさんは大阪大学音楽学専攻の卒業生で、リコーダーも演奏されます。
(こもえさんのブログはこちら


一年半ぶりの来日だそうで私が彼の演奏を生で見るのはこれが初めて。

卒論執筆中に2006年の日本でのライブをDVDで見たときは衝撃的だったな。

あれはアイリッシュの世界に足を踏み入れて間もない頃。
その時はちょうど、CDとして発売されているようなアイリッシュ、つまり、聴いてたのしむことを目的として
様々なアレンジが加えられたようなものを聴いていた時期だった。
そういうグループにビビッときてたし純粋にカッコイイ!と感じてた。

そんな時に見たパットの演奏。
ゆったりゆらゆら曲が変わっても気付かなかったし、気付けばうとうと眠気に襲われてた。
1セットもちゃんと起きて聴いてられないくらいそれくらい平たい、田舎くさい印象だった。
そのライブのDVDは論文の参考にとダビングさせてもらったんだけど、全然見直したりしなかったの。

それなのに、一年経つうちに気付いたんだ。自分の感覚が少しづつ変わっていることに。

今夜はライブ中、私は何度もニヤけていたらしい。
DVDで見たのとは全然印象が違った。
パットの演奏には、しっかりとしたデコボコがある。
ざっくり説明するとアイリッシュの構造は前半8小節(×2)後半8小節(×2)でそれを好きなだけ繰り返して次の曲に繋げるんだけど、一回一回繰り返すたび毎回、装飾の付け方に変化を付けてるの!

パットの横で演奏してたジェイさんのギターもすごい。
超絶技巧とかは一切なく、ほんっとにシンプルなんだけど突然グッと引き付けるようなことをしてくれる。

それに、ギターで伴奏なんか付けなくたってアイリッシュ本来のフィドルというメロディー楽器だけで彼らのライブはしっかりと成り立っていた。

私がかつてカッコイイと感じてた、様々なアレンジを試みるアイルランドのグループのメンバーはみな、生活の一部にパットのような演奏があった。

だから彼らのアレンジはアイリッシュの原点を知った上でのアレンジなのだ。




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